そのままの君が好き

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「ケロケロッ。ケロケロケロッ」 カエルくんは空を見上げて鳴いている。 露草に雨粒が跳ねる。 キラン、キラキラン。 「やったー!雨が降ってきたぞー!」 カエルくんは嬉しくて葉っぱの上をピョンピョン跳ねた。 「また今日も雨だわ・・・もう、うんざり」 ピョンピョン跳ねているカエルくんの後ろで何やら浮かない顔をしているのはアゲハチョウさんだ。 「どうしたんだい?アゲハチョウさん」 「どうしたもこうしたも無いわよ。カエルくんが鳴くせいで、また今日も雨が降るのでしょう?これ見てよ。せっかくの私の美しい模様がビショビショになっちゃうわ」 と、アゲハチョウさんは背中に生えているビロードみたいな美しい羽根模様をカエルくんに見せた。 「ほんとだ!キレイだね、アゲハチョウさん!君はそんなにキレイな羽根をもっていたんだね!」 カエルくんが能天気にそう言うと、アゲハチョウさんはますます機嫌が悪くなる。 「そうよ。だからこうも毎日毎日雨が降ると、この私の美しい羽根が濡れて台無しなのよ。羽根のないカエルくんにはわからないかもしれないけれど、私たちチョウは花から花へ羽ばたいてこそ生きていけるの。花の蜜も飲みたいし、素敵な殿方にも出逢いたい。飛べなきゃ意味ないのよ!」 アゲハチョウさんはかなりご立腹のようだ。 「そう言われてもなぁ・・・・」 と、カエルくんはツルツル頭を抱えた。 「雨乞いをするのは僕たちカエルの仕事なんだよ。わかってくれないかなぁ?アゲハチョウさん」 カエルくんは、ただでさえ姿勢が低い身体をより一層低くしたがアゲハチョウはウンとは言わなかった。 「何よ偉そうに。仕事ですって?雨を降らす事が?笑わせないでよ。あなたはいつも泥だらけ。せめて身なりに気をつかったら?私なんて毎日この羽根を擦り合わせて砂を落とし、薔薇の雫を身体に纏って全身を良い香りにしているのよ?」 カエルくんはアゲハチョウさんにそんな事を言われて、生まれて始めて自分の身体を見た。 確かに、お腹は地べたにくっついて、手足は泥まみれ。背中にはどこから貰ってきたのかわからない藻までへばりついている。
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