雨の日のラーメン

1/3
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

雨の日のラーメン

 まぶたをこすって目を開ける。いつもだったら最初に目に入るのは、おばあちゃんの顔。でも今日は違う。 「お母さん、お休みなの?」 「うん。雨だからね」 「やった!」  雨の日は大好き。警備員で交通誘導をやっているお母さんは雨の日はお休みなのだ。お母さんは給料減っちゃうって嫌がるけど、雨の日で学校がお休みだったら一日一緒にいられるから私は嬉しい。 「どうする? お出かけする?」 「ううん。お家がいい。それでお母さんが作ったご飯を食べたい!」 「ふふ。ミユは不思議だね。お母さんは料理なんてほとんどできないのにお母さんのご飯がいいなんて」 「きっとお母さんには分かりません!」  お母さんは忙しいから、一緒にいられる時間が少ないから、下手でもなんでもお母さんと一緒に食事できるのが嬉しい。それに私にとってお母さんは料理下手じゃない。一生懸命作ってくれてるの分かってるし、ちゃんと美味しい。  いつもは朝早くおばあちゃんが来るのだけど雨の日は別だ。お母さんと一緒に部屋の掃除をして洗濯をしてコインランドリーに乾燥機を使いに向かう。お母さんの運転する車で一緒に歌いながら。乾燥機がまわっている時間はコインランドリーにある絵本を一緒に見る。お父さんはいないけれど、私は楽しく過ごしている。雨の日の土曜日は最高だ。  乾燥も終えて、家に帰ってから洗濯物を一緒に畳み終えるともう十一時半。 「じゃあご飯作ろうか?」  私は元気よく返事をするとお母さんはインスタントラーメンを取り出す。 「本当ごめんね。料理全然できなくて……」 「そんなことないよ。楽しいし美味しいよ」  私がお休みでお母さんもお休みの雨の日の定番インスタントラーメン。なんにもおかしくない。私はお母さんと一緒に作るインスタントラーメンが好きなんだ。野菜をたっぷり入れるインスタントラーメンが好きなんだ。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!