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開運日読み
物の化け物で物の怪だ。
それは開運日読みと書かれた紙である。
その日読みを作ったのは、はぐれ陰陽師として暮らしていた娘だ。陰陽師は天文博士である。女ではなれないので、はぐれ陰陽師として暮らしていた。
その月と日が書いてあり、日の所に開運行動が浮かんでくる。中身は単純だ。早足で歩けとか、この方角に行くなとかだ。浮かんできた内容で予定を立てる。
そんな日読みを開運日読みとして作り売った。
運の悪い女が開運日読みを手に入れた。
どうにか良くなって欲しいと日読みを拝んだ。
日読みに西に行くなと書いてあった。女が北に歩いて行くと巾着を拾った。
日読みに糞するなと書いてあった。
なんと下品なと思ったが、まあ一日ぐらいと従った。米をおまけしてもらった。
これは凄いと女は喜んだ。草を食べろとか川で蛙を捕まえて放せなど変わったものが書いてある時もあったが、女が従うと良いことが起きた。
糞するなとまた書いてあった。女は従った。
次の日もまた糞するなと書いてあった。女は従った。
その次の日も糞するなと書いてあった。女は青くなったが、これは自分の未来のための試練だと気合を入れた。
女が青い顔で歩いていると、女が気になっていた男と会った。
顔色が悪いねと男が話しかけてくる。だが女は会話どころじゃなかった。腹を押さえる。
男は気を使うが、糞していないから気分が悪いなど言えない。
腹が痛い。腹が痛い。腹が痛い。
顔が青くなる。
腹が痛い。腹が痛い。腹が痛い。
「大丈夫かい?」
男が心配する。
「あァァァあぁァぁあぁ」
酷い音がした。
この出来事で二人は結ばれたのだった。
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