雨の日だけの秘密基地

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今日はシトシトと雨が降っています。 せっかくお兄ちゃんと一緒にお外で遊べると思ったのに、残念です。 ぼくは部屋のすみっこで、口をとがらせていました。 その様子を見ていたひとつ上のお兄ちゃんが、ぼくに向かって言いました。 「外で遊ぼうぜ!はやくはやく!」 雨が降っていて、お外では遊べないはずなのにどういうことでしょう。 すると、お兄ちゃんはぼくたちの傘とお父さんの傘を持って庭に向かいました。 ついて行ってみると、 「ほら、ここに座って」 と。 お兄ちゃんのいう通りにすると、傘をひらいてぼくたちの周りに置き、ついには小さなドームができあがりました。 「ここはぼくたちだけの秘密基地だからな!」 傘に雨が当たる音、ときどき光に照らされて光る雨粒、すごくワクワクします。 雨宿りにきたカエルと遊んだり、ぼくの宝物のお人形でおままごとしたり、この秘密基地の中ならなんでもできました。 「ご飯できたよー。おうちに入っておいで〜」 「はーい」 秘密基地での時間はほんの一瞬で過ぎていきました。 まだ秘密基地にいたいけど、お腹の虫は正直です。 しぶしぶ玄関に向かうとお兄ちゃんは、 「また雨の日にだね」 と言って、傘を片付けました。 次の雨の日はいつだろうなぁ。
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