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石の巫女
頭の中に流れた映像のことを話すと、永遠は困った顔になった。
「見えたって……要芽の力は石の声を聞くことだぞ? 視る力じゃない」
「でも本当に見えたんだってば!」
たくさん不思議なことをしているくせに、私がインペリアルトパーズが見た光景を視たって言っても信じてくれないなんて。
永遠のバカ!
「春香さん!」
永遠は信じてくれなかったけど、春香さんなら信じてくれるかもしれないって思って目を向けた。
でも春香さんの表情も困り顔。
「頭ごなしに否定するつもりはないけれど……視る力なんて私も聞いたことが無いから……」
「でも、本当なんです!」
呪われたブラックダイヤモンドを買ったのが柚乃のお母さんだってこともあって、早くなんとかしなきゃってあせっちゃう。
強い呪いだって石たちは言ってた。
そういう石は人が悪い感情を持ちやすくなるよう誘導するんだよね?
柚乃のお母さんが悪い感情を持ったら、柚乃にも悪いことが起きたりするんじゃないの?
気ばかりあせって、イライラしてくる。
本当に、早くなんとかしないとないのに!
『カナメ、落ち着くんだ』
「っ!?」
黒水晶をさわってないのに、リオくんの声が頭の中に響いた。
「リオくん? どうして……?」
『僕の声聞こえた? そっか、やっぱり力が強くなってるんだな』
「え?」
なにかを理解しているみたいなリオくん。
よくわかってない私に『具現化するよ』って断りを入れてくる。
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