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「お姉様のおかげで、村のみんなが一体となれていたのです。
ヌシ様も必死に祈るお姉様を大事に思ってくれていたようですし」
「そうだな。
ヌシを名乗っていたオオガエルは、村人たちが寝たあと、せっせと畑の手入れをし、村に豊穣が訪れるよう頑張っていたようだ。
自分をヌシと崇めるお前の姉のために」
と龍神様が教えてくれる。
なんか。
泣けてくるな、とヒナは思った。
もともとは、ただ長く生きただけのオオガエルだったのだろうに。
自分を信じる村人のため、姉のために彼は神になろうとしたのだ。
「それで、そのヌシ様は今、どちらに……?」
と母が心配そうに訊いてくる。
「大丈夫。
淵は龍神様の住処に戻りましたが。
ヌシ様は、お姉様と一緒に街に行かれましたよ」
とヒナは笑った。
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