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「そうなんだ」
「実家帰るついでにね。視察的な。復興状況見る的な。あと知り合いに会えたらいいなってちょっと期待しつつ」
振り返ったハカリ君が足元に目を落として「そうか」と呟いた。
駅のロータリーを抜けた先の大通りは車両が通行止めになっている。こういう箇所が駅周辺にはいたる所にあるから、川開き祭りの車移動は不便なのだ。流石のハカリ君もインテグラでは来なかった。
「屋台行こう屋台」
「はい」
赤いテントの屋台でかき氷を買った。俺はブルーハワイでハカリ君はいちご味。暑さでみるみるうちに溶けていくかき氷を小さなスプーンで掬いながら歩く。潰れたフィリピンパブの前を通り焼きそばの屋台に並んだ。後ろに立ったハカリ君が溶けたかき氷をカップを傾けて飲んだ。
「屋台の焼きそばになると石巻焼きそばも普通の焼きそばもそんなに変わらないんだよね」
「あー、そうかもしれないです」
「前に食べ比べたら違いがよくわからなかった」
ハカリ君は空になったかき氷のカップを覗き込みながら「そういえば僕も食べ比べてみたことあったかもしれないです」と言った。
「へー、これってあるあるなのかな」
「あるあるっていうか」
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