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「ナタリーさん、こんにちは!」
「おぉ、ケヴィン…お疲れ様。
さぁ、お入り。」
ナタリーはケヴィンを家の中に招き入れました。
「ナタリーさん、これ。」
ケヴィンはかごいっぱいの野菜と果物を差し出しました。
「本当にいつもどうもありがとうよ。」
ナタリーはしわくちゃの顔を綻ばせました。
農夫のケヴィンは、毎日のようにナタリー婆さんの家に野菜や果物を届けます。
変わり者で、あまり人と関わることをしないナタリーもケヴィンだけには心を許しています。
「それにしてもいつも済まないね。」
「何を言ってるんです。
僕一人じゃ食べきれないから、ナタリーさんに食べてもらって助かってるんですよ。」
ケヴィンの優しい言葉に、ナタリーはまた微笑みました。
「あんたに何かお礼をしたいけど、私には何もあげるものがない…
それが心苦しいよ。」
「そんなこと、気にしないで下さい。
さっきも言った通り、僕はナタリーさんのおかげで助かってるんですから…」
「何を言ってるんだい。
あんたは、肉や魚を持って来てくれることもある。
それは町までわざわざ買いに行ってるんだろう?
それに先月は、私に服まで買って来てくれたじゃないか。」
ケヴィンは照れ臭そうに小さく肩をすくめました。
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