1 始まり

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 最近のわたしは雑草がぼうぼうと生えている気になる家がある。もちろん雑草が好きだなんてことはなくて、その家に猫が通っている姿をよく見かけるからなんだ。  わたしは、小鳥浜(ことりはま)ことり。猫が大好きな小学五年生。十一歳。  名字は小鳥浜なんだけど、名前にもことりが付くなんてなんだかちょっと恥ずかしいよと両親に文句を言ったことがある。  すると、お母さんは、 「だって、ことりちゃんって可愛らしい名前でしょう。それにわたし小学生の頃セキセイインコを飼っていたのよ~可愛かったわよ」  なんて言ってお母さんは口元に手を当ててうふふと笑う。  わたしはセキセイインコですか? お母さん‥‥‥。  お父さんはお母さんの隣でニコニコと笑っている。 「わたしセキセイインコじゃないもん。代わりにしないでよ」  わたしは頬をぷくっと膨らませ抗議をする。  なのにお父さんは「いいじゃないかことりって可愛いじゃないか」と言って笑うんだから嫌になる。 「うふふ、ことりちゃんって可愛らしい名前なんだから拗ねないのよ~」  お母さんはそう言ってうふふと可愛らしく笑うけれど、わたしはこの『ことり』という名前でちょっと困っているのだ。  だって、それは。
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