神誓王国侵攻編① 伝令と門番

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「何故そう思う?」 「刃から感じた手応えだ。包帯のように身に付けているが、それは綿や布ではなく紙だ。刀で切れないような紙を操るならば紙使いしかあるまい。それに、紙ならば呪力を書き込み呪符にするにはもってこいだ」  ガルンの指摘にヴェイルはこみ上げてくる笑いを押し留める。  短い戦闘時間で的確に敵の武器、特性を探り当てる観察眼。  それは今までの戦闘経験による積み重ねによる推察に寄るものか、見切り眼のような特殊な技能によるものかは定かではない。  ただ、今までの立ち振る舞い全てが達人級だと理解できる。  あらゆる戦闘技能が高水準。  英雄に数えられる本物の人間が目の前にいると言う高揚感。  それは憧れている人物に会えた嬉しさに似た興奮が沸き立つ。 「ご明察。読みは大正解。オレは紙使いさ。あらゆる紙を武器化して使役する。呪符化しているのは聖成魔筆・永沙(せいせいまひつ・えいさ)の能力によるもので、印字した文字に魔力が籠もる。筆自体に破格の魔力が込められている、規格外の秘宝を受任式でくれるメルテシオンは本当に太っ腹だ」  
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