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紙使いであったからこそ呪符魔術を学んだのか、呪符魔術師であったからこそ紙使いの能力が目覚めたのかは定かではない。
だが、紙使いに呪符魔術は鬼に金棒のセットと言えよう。
それも聖成兵装による自己魔力度外視の魔術付与が可能となれば、その運用方法は多岐に渡る。
ヴェイルが無造作に手首を捻ると、両手にはマジックのように呪符が五枚ずつ現れた。
ガルンはその呪符よりも、腕から垂れ下がっている包帯状の紙に目を向ける。
紙とは薄くて簡単に切れるイメージがあるが、実際はピンからキリで丈夫なものは非常に強固だ。
耐水紙は水に強く破れにくい。
紙の燃える温度は三百度であり、水が沸騰する百度でも燃えることはないため、水に濡れた紙は水が百度以上にならないため燃えない状態になる。
不燃紙のような燃えにくい紙もあり、紙と言っても千差万別だ。
それに魔力付与で術式強化されるとなれば、下手な魔法など一切寄せ付けないだろう。
呪符魔術による魔法よりも、術式で強化された紙の方がよほど危険と言える。
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