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旅立ちは雨の日と決まっているらしい。
オタマジャクシがカエルになると、もう田んぼにはいられない。
カエルになりたてのミニガエルは、ぴこたん、ぴこたんとジャンプして、草木が茂る陸地を目指す。
「陸に着いたら、どこに住む?」
「盆栽の鉢の中」
「神社の鳥居の根元の草かげ」
「キャベツ畑のキャベツの中」
「梅の木の上」
何匹かが驚いて聞き返した。
「え?」
「梅の木の上?」
梅の木の上と答えたカエルが答える。
「ぼくのおじいさんは、何年も梅の木の枝の上をねぐらにしてたんだって」
「へえ」
「本当に?」
「どうやって登るの?」
「別に普通に登れるってよ」
カエルの手には、吸盤がついているのだ。
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