アルティナ・ノーキンは病弱王子様を支えたい。

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 アルティナ・ノーキンの趣味は筋トレだ。  毎朝10キロン(日本でいうところの㎞)のランニングをして、途中で遭遇したモンスターは拳でけちらし朝食の材料にする。  村の自警団団長をつとめる父、チョー・ノーキンのように強くなるのが目標だった。  まずは国一番の強い女になるべく、16歳の誕生日、王都の騎士団に志願した。  しかしアルティナの暮らしているグランスティング王国の教訓は、男はたくましく、女はつつましく。  女が騎士になりたいなんて前代未聞の出来事だった。  建国以来初めての騎士志願女子。しかも入団の体力試験を軽々突破してしまった。  仕事を与えないわけにはいかず、割り振られた任務は第一王子の護衛だった。  グランスティング王国には三人の王子がいて、三人とも成人している。  第二王子と第三王子はすでに国政で国内外を飛び回っている。  が、第一王子は病弱で月に二回は熱を出して寝込む。  臣下たちから吹けば飛びそうと評されている。  そんなわけで、次期国王になるのは第二王子か第三王子だと、国王と王妃も思っていた。
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