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 校門をくぐったところで、大好きな背中を見つけて肩を叩いた。 「おっはよー、杏奈(あんな)っ!」 「あっ、(なぎさ)。おはよ」  意気揚々と右隣りに並んだわたしを振り返った彼女のあでやかなロングヘアが、さらりと揺れる。一見普通の黒髪だけど、その内側はほんのりと青い。  髪の隙間から顔を覗かせた耳たぶには、天然水みたいに透き通った星形があしらわれている。  ――ふふっ、かわいい。  わたしはなんだか誇らしい気持ちで、数年前を思い出した。  *  わたしたちは、親友だった。  杏奈の一番の理解者はわたしで、わたしの一番の理解者は杏奈だ。  誰がなんと言おうとも。  だって、保育園から高校までずっと一緒で、ずーっと仲良しなんだもん。  だから、 「杏奈ってさ、物言いキツイときあるよねー」 「わかるー。冗談のつもりで言ってるんだろうけど、冗談に聞こえないっていうか」  高校に入ってしばらくした頃、昼休みなんかに杏奈の陰口を頻繁に耳にするようになってからは、こっちまで胸が苦しくなった。 「この間も、こんなこと言われちゃってさー」
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