一章

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8  その後は、皇子達がラフィーナを奪い合って、色々な事件が起こる。  大魔術師の子孫である皇族にとって、魔力こそが絶対だ。  ラフィーナの力で他の兄弟の魔力を抑え込めれば、後継者争いで有利になれると、ラフィーナ争奪戦が始まる。  遂には、皇室の暴挙に耐えかねた国民と、ラフィーナの取り戻しに来た男主人公エミリオや公爵家の騎士、以前から反感を抱いていた貴族達の反乱によって、皇族は滅ぼされる。  反乱の筆頭となったカディエゴ公爵は、北部を守る必要があるため、皇帝になる事を拒む。  貴族たちの話し合いの結果――その子息であるエミリオが皇帝に即位し、皇后にラフィーナを迎えてハッピーエンドで終わりだ。    今思えば、どうしてあんな小説を読んでいたのか不思議でならない。  あの小説さえ読まなければ、こんな状況にはなっていなかったのでは無いだろうか。  すっかり慣れてしまったこの環境に、喜怒哀楽すら感じなくなってきた。  血が繋がっているだけあって、やっぱり俺もハイデルトなんだろう。  生き残る為に横暴なフリをして、極力人を傷つけないように気をつけながら、残虐な皇子を演じてきた。  今日、第二皇子が殺した使用人は、きっと俺が殺したことになっているだろう。  俺の部屋で死んだのだから、そう認識されても仕方が無い。  問題なのは――明日、カエディゴ公爵と男主人公のエミリオが、皇城に来る事だ。
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