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その後は、皇子達がラフィーナを奪い合って、色々な事件が起こる。
大魔術師の子孫である皇族にとって、魔力こそが絶対だ。
ラフィーナの力で他の兄弟の魔力を抑え込めれば、後継者争いで有利になれると、ラフィーナ争奪戦が始まる。
遂には、皇室の暴挙に耐えかねた国民と、ラフィーナの取り戻しに来た男主人公エミリオや公爵家の騎士、以前から反感を抱いていた貴族達の反乱によって、皇族は滅ぼされる。
反乱の筆頭となったカディエゴ公爵は、北部を守る必要があるため、皇帝になる事を拒む。
貴族たちの話し合いの結果――その子息であるエミリオが皇帝に即位し、皇后にラフィーナを迎えてハッピーエンドで終わりだ。
今思えば、どうしてあんな小説を読んでいたのか不思議でならない。
あの小説さえ読まなければ、こんな状況にはなっていなかったのでは無いだろうか。
すっかり慣れてしまったこの環境に、喜怒哀楽すら感じなくなってきた。
血が繋がっているだけあって、やっぱり俺もハイデルトなんだろう。
生き残る為に横暴なフリをして、極力人を傷つけないように気をつけながら、残虐な皇子を演じてきた。
今日、第二皇子が殺した使用人は、きっと俺が殺したことになっているだろう。
俺の部屋で死んだのだから、そう認識されても仕方が無い。
問題なのは――明日、カエディゴ公爵と男主人公のエミリオが、皇城に来る事だ。
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