プロローグ

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プロローグ

全てが荒廃したこの世界に僕はただ…一筋の閃光をみていた。そう呟いた少女が見詰める先にあるものは…一羽のカラスと大きな鳥居だけだった。 僕には前世の記憶がある。殺人鬼「森崎綾音」2012年の秋に渋谷を騒がせた連続通り魔事件。その犯人は他ならぬこのボクだ。そして…ボクはあの日全てを超越した先にキミを見付けた。 その世界の中で眩しく煌めくキミはボクの希望だったんだ…。そう二条に問いかけた少女は何処か物憂げで…懐かしい匂いがした。 今でも鮮明に覚えてる。あの日は雪が降ってて…年末恒例のTV番組を見ていた。窓の外は薄暗く…何処か物憂げな雰囲気を漂わせるその風景はこれから起きる未来の出来事の一端を見せていた様だった。 「堂上剛」が「自殺」したあの日からこの世界は一変した。生前の彼のファンの1人であるとある科学者が…人類初の大偉業を成し遂げた。がそれは…同時にこの世界が大きく変わるキッカケを作った出来事でもあった。 彼が居た「2023年」のこの世界に「堂上剛」はいない。彼は…2008年6月10日。なんの前ぶれもなくライブ中に「自殺」した。それが俺が知ってる歴史だった。そうそれが俺が知ってる歴史だったんだ。
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