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箱の底に取扱説明書の紙きれが添付されていた。
この度は、Ai機能付きデジタリスDC800型を購入いただきありがとうございます。梱包を解くと同時にデジタリスが起動する仕組みになっています。お持ちのQRコードリーダーもしくはそれに準ずる機器をデジタリスの目に当てていただくと、飼育マニュアルが自動的にパソコン、スマートフォンなどにダウンロードされます。ダウンロードをされなくても十分にお楽しみいただけますが、より快適なペットライフをお楽しみいただくためにはダウンロードが必要です。
さっそく、僕はスマートフォンを用意してデータ読みとりを開始した。一分ほどでダウンロードが終了すると、Ai機能付きの縞栗鼠はぴょこぴょこと動きだし、小さな耳を立て、床を元気に走り周り、ベッドに飛び乗ると大きな伸びをして、丸くなった。そして、エメラルド色の目でじっと僕を観察した。僕も栗鼠を見返した。
そうだ、名前をつけてやらなきゃ…が、すぐに思い浮かばない。
僕はダウンロードを終えたばかりのマニュアルに目を通した。いくつかの項目があって、その中に「名前のつけかた」があった。購入者が自分で考えるのがベターだが、思いつかないときは候補があるのでそれを参考にするよいと記されている。僕は候補から選んだ。
チャミー。これにしよう。
「よし、きょうからキミの名前はチャミーだ。よろしく、チャミー。えっと、こんなんで通じるんか?」
半信半疑だった。
チャミーはクルクルした目で上目づかいで僕を眺めていたが、「おいで!」と一言発すると、ジャンプした。僕の足元でクンクンと匂いを嗅ぎ、危険な人物でないことを理解したのか、僕の足を木のようにして登り、ぴょこんと肩に飛び乗った。
こうして僕とチャミーの共同生活が始まった。
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