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父の余命宣告
「持って半年でしょう」
5年ぶりに目にした医者は、無慈悲に言い放った。
***
「ごめんな……パパは、天国に行くことになったんだ」
「そんなっ……パパ! 嫌だよ、そんなの! まだ僕たちのそばにいてよ! お別れなんて受け入れられない!」
「っ……! 何でパパが、病気にならなくちゃいけないんだよぉ……。なんも悪いことしてないのに……」
あばら屋で、さめざめと泣く父と二人の幼い息子。
母は現在、働きに出ている。どんな不幸がのしかかっていても、働かなければ生活は立ち行かない。
それほどまでに、この一家は貧しかった。
いや、一家だけではない。この国は、貧富の差が激しく、一部の裕福な者は栄華を極めていたが、そうでない人々は爪に火を灯すような、極貧生活を余儀なくされていた。
父の病気の発見が遅れて、ついに余命半年というところまできてしまったのも、ひとえに医者に診てもらう金がなかったからだ。
彼は、労働中に血を吐いてぶっ倒れてようやく、残り少ない金で、医者に診断してもらう決心をしたのだった。
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