私の「運命の人」

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一昔前、人は結婚に至るまでに誰かを好きになり、想いを伝え、デートを重ね、プロポーズをし、そして結婚というゴールでもありスタートが当たり前だった。その話を聞くたびに、中野乃愛(なかののあ)は「信じられないよね」と呟いてしまう。 20××年、歯止めのかかることのない少子化に対し、政府はある政策を発表した。その名は「運命の二人制度」。産まれた子どもはすぐに遺伝子検査をされ、自分の持つ遺伝子と相性のいい異性を探される。相性がいいというのは、子どもができやすいという意味である。 相性のいい相手が見つかると、その二人は「運命の二人」と呼ばれ、強制的に婚約者となる。お互いが成人を迎えたならば結婚をし、子どもを作ることが義務とされる。 人権を無視したこの政策に国内外から批判が集中したものの、政府はこの政策を実行した。そのおかげか、出生率は安定しているようだ。 婚約者以外の人間を好きになることがないよう、共学校は全て廃止され、日本の学校は全て男子校と女子校に分かれた。保育園や幼稚園も男女で分かれるようになっている。
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