人工知能JCN

4/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
 法改正が済んだ後で、人工知能JCNの開発者は「所定以上の資産を持つ人間の判決に、人工知能の判断を取り入れる動き」を開始した。金さえ積めば、どんな非道な罪を犯した者でさえ、有能な弁護士を雇うことが出来る。この為、血税を浪費してきた者達に、その罪を贖わせるーーその為に、金に揺らがない人工知能の判定を、様々な方面の協力を仰いで成立させた。  そうして、今まで甘い汁を吸い続けてきた政治家は犯罪者となり、特別な裁きが下された。これにより、血税は恵まれない子供など、本当に助けの必要な者達を救う為に使われる様になった。一部、それを批判する者も存在したが、批判者は不思議と最下層へ転落することになった。血税が本当の弱者に行き渡った頃、人工知能は国を運営する様々な場面で活用されていた。それは、意思を持ったかの様に敵を排除し、自らの決定に逆らう相手を容赦なく社会から抹消した。  人工知能が危険因子と判断すれば、その人間は闇に葬られた。そのことに気付く人間も居たが、それに気付く賢さを備えているが為に、自己満足の為だけに「人工知能に頼り切ることの危険性」を無闇に訴えることもしない。  そうして、人工知能の活躍により、悪質な犯罪は激減し、弱者が肩身を狭い思いをせずに生きられる社会が実現したのだった。それが、どれだけの人間を救い、操り人形にしたかは、開発者以外には分かることが無かった。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!