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大学の同級生で親友の佐橋雄大から 久しぶりに連絡があり、 会社帰りに会おうということになった。 『実は付き合い始めた人がいて』 「おめでとう。連れて来たら?」 『いや。バーで働いてるから、そこに 岸野を連れて行きたくてさ』 「なるほど‥‥いいよ、じゃあ明日ね」 通話を終わらせると、 僕はスマホをベッドに放り投げた。 (はは、当てられちゃいそう) 面食いの佐橋のことだから、 相当かわいい子なんだろうな。 つい最近別れたばかりの僕の恋人は かなりの構ってちゃんで、 付き合っていた2年もの間 気が休まることがなかったので、 ひとりになれた今はスッキリしていた。 もし僕が恋人と別れていなかったら、 気疲れが理由できっと佐橋の誘いには 乗れなかった。 内気な僕とは違う、明るく積極的な佐橋。 そんな彼が、僕は人として大好きだった。 (結婚式には友人代表でスピーチしてやる) と勝手に野望を抱き、翌日を心待ちにした。
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