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「俺と、結婚してくれませんか?」
「……はぃ?」
だが、その驚きなんて可愛いものだった。……今、彼はなんと言ったのだろうか?
(聞き間違いじゃなかったら、結婚してほしいって……)
いや、絶対に間違いなくそう言った。唯奈が生み出した幻聴という可能性は、ほぼゼロだろう。
(というか、運命ってそういう運命!?)
唯奈を運命の相手だと、涼人は捉えたのだろうか? そんなもの、まやかしだろうに。
だって、唯奈は平凡な女だ。特別美人というわけでも、可愛いというわけでもない。
「い、いやいや、あの、ですね……。結婚なんて、こんな勢いで決めるものじゃないですよ……」
ぶんぶんと首を横に振って、そう言う。だって、そうじゃないか。もしも結婚して、やっぱり合わないとなったら。何年も付き合った恋人とさえ、あっという間に破局するのに……。
「それは、わかっています。ただ、俺もいろいろと切羽詰まっていて……」
涼人が唯奈の手をぎゅっと握って、そう言う。……どうやら、彼も訳ありらしい。
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