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朝、起きたら隣で褐色黒髪イケメンがベッドの中に生息していた。
??? 誰だっけ、このすやすやと寝息をたてている見目麗しき、異国の殿方は?
……はい。承知しております。前髪が目に掛かっていて、一瞬誰だかわからなかったけれど、この男はまごうことなき、ひねくれ王子イアンだ。
え? なんで一緒に寝てるん?
私は頭からつま先までの全身にレーダー探知機を張り巡らせ、神経を集中させる。
すると。私の私。あらぬところに違和感がありまくりで。
(やば……え? ……やば)
どうやら私はこの男と一夜を共にしてしまったようだ。
私たちはまだ出逢ったばかりのはず。いきなり初手でかましてしまいましたの巻。(;´д`)
頭がハッキリしてくると、さらに気持ちが冷えた。
(えぇまじやばあぁぁい!!)
一応、王子さまを起こさぬようにと、心の中で絶叫。
なんでこうなったんだっけ?
イケメンから離れ、身体を起こして周りを見る。
(あー)
情けないことに、ベッドの上には情事の残骸があちらこちらに転がっている。なにが? と問われれば詳しく説明しなければだけど、ピーーー音を多用の生々しい話になってしまうので、そこは割愛させてください。
(夕べ、あれから……飲みすぎちゃったんだ)
ローテーブルの上には缶ビールの缶がどんだけ開けたんだってくらい、ぎっしり置かれている。その周りには私が作った料理の皿。
そう。料理を作ったまでは覚えてる。イアン王子の歓迎会の後のことだ。いや料理を食べ、缶ビールのプルタブをガショと開けたのも覚えてる。
「おまえはほんっっと馴れ馴れしいやつだ!! 俺の国ならとっくに死刑になってるぞ!!」
夕べのイアンのセリフもところどころ覚えてるし。
はあぁ。やば。この情事、それ以上の死刑案件だオーマイガ。
天を仰ぎたい気持ちになった。ってか仰いだよ。
起こさないように無言で、ふぁぁぁーー!! ってね。
でも、そこでお相手さまがご起床されまして。私はひゅと息を飲んでしまった。
「ふわあ、よく寝たぁ」
と、寝ぼけまなこで起き上がり、両手を天へ突き上げ……は?
「え?! なに?! なんでおまえが俺のベッドにいるんだ!!」
はいぃ違いますう。
「……ここ私のベッドだし」
言いかけてはっと気づく。そこらの残骸を掻き集め、行為の隠蔽を謀ったが、時すでに遅し。イアンは慌てた様子で、「え? ちょ……っとま……ま、まさか、俺たち……」
「……まさかあ、そそそそんなことありませーん」
お互い強張った顔を見合わせて、数秒。
固まった。
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