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そして翌日の昼。
幸い2人とも二日酔いはなく、予定通りラーメン屋に行くことにした。理緒が「混む前に行こう」と言い、11時を目掛けて車を出してくれたのだが、どうやら私たちの読みは甘かったようだ。
到着したラーメン屋には既に大行列ができていて、狭い駐車場は既に満車……どころか道路脇にも順番待ちの車が列を成している。
地元の情報誌で紹介されると一気に人が集中するのは田舎ならではの光景だろう。
「すっごいね。雑誌パワー?」
「かもね。とりあえず隣のモールに車停めるね。先に買い物してもいいかな?」
「いいよ。っていうか服はここでいいの?」
「うん、とりあえずね」
その後とりあえず全国チェーンのプチプラ服屋に入ったのだが、案の定私は何の役にも立たず、お互い無難なTシャツを買っただけで店を出ることになった。
「……ごめん理緒。私のファッションスキルじゃなんの役にも立てないわ」
「全然いいよ。千尋ちゃんと一緒に買い物するだけで楽しいもん」
理緒の素直で可愛らしい性格にはキュンとくる。これで容姿も私の好みだったら高校時代に間違いなく惚れていただろう。
と考えると、この先ちょっと危うい予感がする。今の職場の先輩への不毛な想いが理緒に移ってしまいそうな気がするのだ。
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