エイミー

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「おはようエイミー」 『おはようございますショウ様・本日もアストテック社製学習補助AIプログラム型式名称EIMYをご利用頂きありがとうございます』 「またそこから? いい加減聞き飽きたよ。僕達が出会って……というか知り合って? 1か月は経つでしょ?、もっとこうフランクに行こうよ友達みたいに」 『問に対する返答ですが・ショウ様が私をご利用され始めて今日で28日目で1か月には僅かに及びません・また私は学習補助AIであり疑似友人体験AIではありませんのでショウ様と良好な友人関係を築く機能は搭載されておりませんのであしからず』 毎日会話を続けている機械音声は28日が経過した今も初回起動日と変わらない無機質なものだった。 『では昨日の復習から始めましょう・数学プログラムを起動します・範囲は図形の面積の求め方から―――』 「えーそれなら昨日やったよ、エイミーの出したテストも全問正解だったしやる意味なくない?」 『それを行うのが復習と呼ばれる学習方法で・より一層知識として記憶に定着させる事に効果的だとされています』 「もー分かったってば。じゃあ早く問題出してよ」 数時間に渡るモニターに表示された図形や数式との格闘を終えた少年は一度席を立つと大きく伸びをした。 『お疲れさまでした・公式の扱いや図形関係の数式はほぼ完璧と思われます・では続きまして理科科学のプログラムを起動します』 「ちょ、ちょっと待って! 流石に疲れたし一旦休憩入れさせてよ」 『今週中の学習予定の範囲から見て約8%の遅れが出ています。遅れを取り戻す為にも引き続き、次の範囲に取り掛かる事をお勧めします』 「けほけほっ、あーなんだか今日は体調が良くない気がするなー。これは大事を取って早めに休んだ方が明日気持ちよく勉強に励める気がするなー?」 『会話履歴を遡ると昨日も一昨日もさらにその前日も同様の理由で学習時間を短縮していますが』 「そうだったっけ? けほっけほっああやっぱり今日はこの辺にしとこうかな」 『これ以上の学習ペースの遅延は推奨されません・本日中に――――』 「おやすみ、エイミー」 プツンと、少年の言葉を合図にモニターの画面が黒一色に変化する。唯一の光源を失った部屋の闇に溶け込む真っ暗なモニターを見つめる少年。 「ごめんねエイミー………………げほっ」 エイミー使用日数・28日目
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