第二章 真夏のかき氷

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* 「ねぇ、光高」 「何?」  三十分は経っただろうか。真の声に応えて本に栞を挟むと、真が参考書を持て余していた。持て余していたーーというにはそもそも身が入っていないように見えたのは多分僕の気のせいじゃない。  そう言う僕も恐らくはこの中で一番泳げるという自負から、いつあの2人が溺れても助けに行けるようにはしておきたい、と思っていて完全に2人からは目を離していない。  しかし、僕の心配をよそに、波打ち際で水を掛け合う2人は全くもって平和そのものであった。たまに海に入って泳いだりもして非常に楽しげである。あの、里依さんが。 「俺さ、里依さんが泳げるとは思わなかったんだけど」 「わかる。意外」  里依さんに鈍臭いイメージしか持っていないのは僕も真も同じだ。それが体力がある方の栞菜と一緒に海で元気に泳いでいるのは正直違和感しかない。  違和感といえば。
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