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「5分やる。
死ぬ前に、大切な人に別れの挨拶でもすればいい」
その男は、部屋の床に座る私の手元にあるスマホを見ている。
そうか…。
5分後に私はこの男に殺される。
その殺される迄の5分の間に、
そのスマホで大切な誰かに電話をしてもいいって事か。
その男は、私の目の前に立ち、
私を見下すように見ていて。
文化包丁を私に、突きつけている。
その包丁は私の部屋にあった物で、
几帳面な私は、その包丁をよく研いでいる。
今日の夜も研いだばかりで、
その切れ味は抜群だろう。
触れただけでも切れそうなそれは、
もう私の目の前迄来ていて。
「早くしろ。
もう5分待たずに殺していいのか?」
そう言うその男は、その女子大生殺しの犯人と同一人物かどうかは分からないけど。
ただ、この男が本気で私を殺す気なのは間違いないだろう。
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