7人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
プロローグ
私が目を開けると、淡いブルーグレーの瞳と目が合った。
神官のライアンだ。
「ミナか?」
「はい」
「今、ルーナに忘却の術を掛けた。これで、ルーナの今日までの記憶は封印された。気分はどうだ?」
私は椅子に座った状態のまま、目を閉じて身体の不調を探ってみたけれど、特に変な感じはしなかった。
「……悪くはないです。大丈夫」
「そうか。では予定通り、次の合同慰霊祭でルアンの葬儀を執り行う」
「はい」
「葬儀の出席はミナではなく、ルーナ本人で良いか?」
「はい。よろしくお願いします」
私は座ったまま、膝に手をついてライアンに頭を下げた。
――ことの始まりは、少し前に遡る。
最初のコメントを投稿しよう!