媚薬を作ったはいいけれど

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「ちょいまち、女勇者ちゃん」  僕は思わずツッコミを入れていた。 「媚薬ってことは、魔王を勇者の誰かに惚れさせるわけだよね?惚れさせて骨抜きにさせるわけだよね?……誰に?僕は絶対嫌なんだけど?」 「……あ」  女勇者も、勇者仲間たちも一瞬にして固まった。  そう、魔王がものすごい美女やイケメンなら問題なかったのだが。  実際は、脂ぎったデブデブの中年のおっさんである。近づくだけで異臭がするような、それこそモブレ役のモブとして採用されそうなキャラクターなのである。  媚薬なんかでそいつに惚れられたら最後、とんでもない目に遭うのは明らかなわけで。  僕の言葉に視線を光速で泳がせた女勇者は。 「……さ、作戦を練り直すわ。ね、練り直しまーす!」 「うおおおい!作る前に気づけよ!?」  ちなみに。  このあと彼女がその媚薬をこっそり川に捨てたせいで、川のモンスターたちが次々と“や ら な い か !”と勇者たちに襲い掛かる地獄絵図が形成されることになるのだが。  それはまだ、誰も知る由のない話である。
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