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「ルルク、ちなみに村の方からは匂いはしない?」
「薄まってきてて、ほぼ大丈夫だと思うよ」
「そう、ならいいのだけど」
「どうしたんですか? 急に戻ってきて」
リリシャは子爵の方ではなく、来客の方を見る。
「すみません。念のためです。気分は悪くないですか? 咳や頭痛は?」
「私に言っていますか? まぁ確かに頭痛はありますね。いつものことですから大丈夫ですよ」
それが怖いのよ。
リリシャはどうしようかと顔を上にあげる。
アッチェリンダの感染を防ぐために結界を張ったはいいが、もしかしたら既に子爵も感染しているかもしれない。
それはリリシャもそうだ。
「ルルク、子爵はどんな匂いがする?」
「ほんの少し、病気の匂い。でもあの外国の人とは違う」
子爵は別の病気にかかっているのね。
花粉症とはまた別に。
「すみません。頭が痛いとのことで、診察をしてもいいですか?」
「必要ないよ。既に薬はもらってる」
「本当にそのお薬は効いているの? でしょうか?」
「言われたらそうでもないが……」
「でしたら、別室に行きましょう」
リリシャは少し、焦っていた。
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