第二章 スタリンティアの花の隣

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ルルク、ちなみに村の方からは匂いはしない?」 「薄まってきてて、ほぼ大丈夫だと思うよ」 「そう、ならいいのだけど」 「どうしたんですか? 急に戻ってきて」 リリシャは子爵の方ではなく、来客の方を見る。 「すみません。念のためです。気分は悪くないですか? 咳や頭痛は?」 「私に言っていますか? まぁ確かに頭痛はありますね。いつものことですから大丈夫ですよ」 それが怖いのよ。 リリシャはどうしようかと顔を上にあげる。 アッチェリンダの感染を防ぐために結界を張ったはいいが、もしかしたら既に子爵も感染しているかもしれない。 それはリリシャもそうだ。 「ルルク、子爵はどんな匂いがする?」 「ほんの少し、病気の匂い。でもあの外国の人とは違う」 子爵は別の病気にかかっているのね。 花粉症とはまた別に。 「すみません。頭が痛いとのことで、診察をしてもいいですか?」 「必要ないよ。既に薬はもらってる」 「本当にそのお薬は効いているの? でしょうか?」 「言われたらそうでもないが……」 「でしたら、別室に行きましょう」 リリシャは少し、焦っていた。
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