緑色のおじちゃんは僕のヒーロー

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「じいちゃん、ばあちゃん、あのね」 早く終われと言わんばかりに睨み付けられた。 「きらね、なしがたべたいな」 ーそうか、よし分かった。あとでママに住所を聞いて送るよー 「あとおこずかいほしいな。ほしいおもちゃがあるの」 ー分かった。ママの口座に入れておくなー 「うん、お願い」 小学校が休みの日は嫌い。だってあの人がずっといるあの家で一日中息を殺して生きていかないといきていけないんだもの。給食もないし。 部屋のなかはいつも変な匂いがしている。 あ、まただ。 夜ご飯を食べるとなぜかすぐに眠くなるんだ。夜ご飯といってもあるのは菓子パン1個だけ。それを妹と半分して食べる。 夏休みが終わっても僕、生きてられるかな? コロナという怖い病気のせいでじいちゃんとばあちゃんに小さいときに会ったきりで全然会えなかったから。死ぬ前に一回でいいから会いたかったのにな。 「これでクスリが買える。お前の稼ぎが悪いからだろ。もっと働け」 「ごめんなさい、ごめんなさい、許してください」 下着姿の母さんが小さくなって。びくびく震えながら。額を汚れた畳に擦り付けて謝っていた。 母さんはなにも悪くないのに。自分が働けばいいのに。 なんで母さんを怒るの?責めるの? 隣の部屋を見ると、知らない男の人がいて服を着ていた。 それをぼんやりと眺めながら僕は深い眠りへと落ちていった。
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