15 極秘会議

2/4
52人が本棚に入れています
本棚に追加
/88ページ
 そうして季節が過ぎ、秋が深まったころ、エラはガイウスから呼び出しを受けた。アリスターを使った、口頭での呼び出しだった。  秘匿性の高い会合には、口頭で呼び出されると聞いていた。エラは、身構えた。  アリスターが「失礼します」と言って、エラの手を取ると、彼は転移魔法を使って、北棟のさらに奥の訓練場の一室に跳んだ。  現地に着いたとき、エラは「ひやー」と声が出てしまった。転移魔法には、なかなか慣れないものだった。  部屋に着くと、質素なテーブルにガイウス、ダルトンそしてマリウスが揃っていた。ダルトンは、ペリクレス辺境伯の嫡男で、現在、ガイウスの側近をしている。 「エラ・リウィウス行政次官殿、忙しいところすまない」  ガイウスが、朗らかな声で呼びかけてきた。 「何事です?」  エラが怪訝な顔で近づくと、「まあ、座って」とガイウスが椅子を勧めた。  エラが椅子に座って顔を上げると、マリウスがこちらを見ていた。  マリウスは、無精ひげを生やし、少し痩せたようだった。しかし、懐かしい優しい目がそこにあった。エラも、目線で受け止めて、心の中で(お帰りなさい)と言った。  エラは、久しぶりに目にする彼が元気だったということに、ただ安堵するのだった。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!