近付きたい、近付けない

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「そういえば、絵、続けてるの?」 緒巳くんにそう聞かれて驚く。 名前間違えられて、高校が同じことも知られてなくて。 それなのに、絵を書くことが好きだったということを、覚えててくれてるなんて思わなくて。 「…たまに。でも、覚えててくれたなんてびっくり」 趣味でだけど。 たまに今でも絵を書いている。 「覚えてるよ。って、さんざんいろいろ忘れてた俺が言っても説得力ないか。でもさ、覚えてる。中学の修学旅行、一緒に行ったよね」 嬉しい、とても。 「その時さ、俺、緒巳って呼んでって言ったよね。で、恵美ちゃんって俺は呼んでたっけ」 久しぶりに緒巳くんに恵美ちゃんって呼ばれて。 頬が熱くなるのを感じる。 「ちょ、そんな照れないでよ。俺まで照れるじゃん」 そう笑うけど。 無理だよ、無理! 「ははは、恵美ちゃんの反応って可愛いよね、昔から」
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