あなたと話がしたいから 〜茶座荘の日常〜 7

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 2ヶ月後、無事試用期間を終えたロボットを回収するために再び高梨さんがやって来た。あれから大きなトラブルもなく、むしろ大きな病気に発展する前に異変を察知して病院で診てもらう、といったプラスの結果が得られた。  ロボットの回収が終わり、高梨さんはまたもや喫茶室でカレーを頬張っていた。 「やっぱりここのカレーは美味しい。もっと近ければ通うのに」  どうやら愛那は今回の仕事で心をつかんだだけでなく、胃袋まで掴んだようだ。彼女の底力には驚かされるばかりだ。高梨さんはあっという間にカレーを食べ終えると、俺たちの所にやって来た。 「今回皆さんのご協力と、何より原田さんの観察力に助けられました。今回の結果をもとに改良させます。ロボットだけじゃなく、俺のことまで成長させてもらってありがとうございました」  愛那は「私は何もしていないです。余計な事ばかり言ってすみません……」なんて謙遜していたけど、高梨さんの言うとおりだなと思った。  AIも人も、間違いや失敗を繰り返して成長していくんだなと思った。まだAIは進化の途中で、人より優れているところ、劣る部分はどちらもあると思っている。表情やちょっとした会話やしぐさから複雑な心情まで汲み取ること、愛那のような人の心情に寄り添ったり、人の心を掴み取ることをAIは出来るようになるんだろうか。  そんな日が来るかは分からないけど、今はAIを理解して、共存しながらお互いに助け合っていきたい、そう心から思った。
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