Episode05

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(あぁ……幸せにしたい) 心の底から明登をもっともっと幸せにしたいと思った。 愛おしさが溢れるまま、そっと明登の手を取ってギュッと握った。 「ん?」 「私も協力すよ、明登の夢を。お金貯めて、明登が望む会社を起こして、そして──」 「そして?」 「私を社長夫人にしてね」 「ははっ、なんだそりゃ。そんなのになりたいのか?」 「結果的にはそうなるって話でしょう? いいから叶えてよ、玉の輿」 「わがままだな、芳香は」 「こんなのわがままの内に入らないわよ。明登と夢見るささやかなものよ」 「ん、解った。叶えてやる──っていうか、芳香のわがままは俺が全部叶えてやるよ」 「ふふっ、期待しているね」 一度は手放した玉の輿の夢になんの未練もなかったけれど、でも好きな人とならその夢を見たいと思った。 「芳香、ありがとう」 「なぁに、いきなり」 「別に。言いたくなっただけ」 「ふぅん」 徐々に眠りに(いざな)われ、ふたりくっついて夢の中へと堕ちて行く。 ふたりなら何でも出来る気がする。 ふたりなら何処まででも行ける気がする。 いい事も悪い事もふたりで乗り越えて、そして、ふたりで幸せになろう──。 クリミナルラバー(終)
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