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「みさきちー! もう~、急にどっか行っちゃうから心配したよ~。ってあれ? どしたの、この世の終わりみたいな顔して」
小一時間ぶりに再会した舞恋は、私とは対照的に晴れ晴れとした笑顔を浮かべていた。
「テスト、全然ダメだった……。これ、まさか入学拒否とかされたりしないよね……?」
「えー、大丈夫っしょ! ただのクラス分けだもん。学費は払ってるんだから心配ないって!」
平気平気! という彼女の明るい声を聞いて、少しだけ救われた気分になる。
「舞恋の方はどうだったの? 面接、上手く喋れた?」
「うんうん! それがさー、面接官のお姉さんが日本にめちゃくちゃ興味ある人でさ。日本のこと色々聞かれて盛り上がったんだよ。もっといっぱい喋りたかったわー」
もはや友達と飲み会でもしてきたかのように満足した様子の舞恋。
どうやら面接官ガチャは彼女の方がSSRを引いたようだ。
「あとさ、あの人にも会ったよ。例の彼!」
「えっ……」
カヒン? と小声で聞き返すと、舞恋はぐっと親指を立てる。
「待合室が一緒でさー。あっちもすぐに気づいてくれたよ」
「そ、そうなんだ」
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