2章ー6

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 ――多分さっちゃんとトラブってる相手は、はめられてると思う。ま、さっちゃんも、紘人さんも、浮気なんてするわけないじゃん!  上司の言葉を思い出した。  仕事だけでなくプライベートでの悩みも聞いてくれる頼もしい存在。  在宅勤務で、表情が暗いと上司に指摘され、個別で少し家の状況を話した。  そしたら、石塚さんがさっき言ったような手口で、上司がかつて近所に住んでいた同級生に似ていると。  彼女の周りでは人間関係のトラブルが起きたと言っていた。  やたら上品にしゃべる人か、ちょっと可愛い系でしょ? とか、石塚さんの特徴に当てはまっていた。  名前を聞かれたので答えると、結婚してもまだやってるんだなと呆れていた。  上司曰く、昔っから人間関係クラッシャーで有名だったと。  彼女に関わると、その周りの人間関係に亀裂が入ると。  相談に乗るフリして、双方の悪口を吹き込む。 全て彼女の嘘や誇張で。それを信じてしまった結果によるもので。 それを陰で楽しんでいると。  上司も一度巻き込まれ、距離を起き続けているが、向こうが絡んでくるのでうんざりしていた。  というのも、実家が近所なので、親同士、現在進行形で付き合いがある。  上品な口調なのは、彼女がやるわけないと周りに信じ込ませるためと。  別に彼女の実家は裕福な家という訳でもなく、普通だと。両親やお姉さんは普通のしゃべり方をするそうだ。  ――多分だけど、引っ越しが多いのは、彼女によるトラブルが原因かもね。家族もそこにいられなくなったかも。  旦那さんが仕事させてくれないと聞いたけど、残念ながら当然だね。人間関係クラッシャーで、トラブル起きたら溜まったもんじゃないよ。 「喧嘩してるとこ見たいとか……まさか、私と吉永さんの仲を引き裂くために!? じゃぁ、吉永さんと夫のやり取りは嘘ってこと!?」 「そんなばかな」 「そうです。私達は何度も言ってますが。ついでにいうと、うちの妻へのインスタのコメントが捨て垢で誹謗中傷してたんですよ。三島さんもですね」  綾子のインスタにも、日常の些細なことの投稿に対して、他所の夫と関係もって余裕だねとか、キッチンの周りが汚いだ、娘がいじめっ子とつるんでるなどコメントが書かれていた。  もっというと、咲月も綾子も両方とも、ネット掲示板に、痛いインスタを載せるスレとして、投稿されていた。
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