2章ー6

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 それに対しての書き込みの反応はスルーされてる。  現在、吉永夫妻は一体誰だと特定をお願いしてい 「ま、まさか……」  綾子はゆっくり深いため息をついた。 「あら。三島さんのおたおたした顔が面白いわー。ほら、吉永さんに罵倒の言葉を浴びせなさいよ。私を楽しませて頂戴。あ、そうだ! この様子、グループLINEに載せていいかしら? ほら、動画撮りたいから。また三島さんと吉永さんになりますまして、実況中継するからさぁ!」  咲月はこの目の前にいる石塚が別人に見えて仕方なかった。  目を背けるように、顔を合わせず、言葉も交わしたくないと、口を真一文字にして、固く閉ざす。    もう、これ以上、この人の狂言に振り回されたくない。  かといって、三島さんとこれからやり直したいかと言われたら、今は答えられない。  石塚さんの言い方だと、遠回しに私がやりましたと言っているようなもの。    味方だと思って相談したら、ただの敵だった。  多分それは三島さんも同じだと思う。 「ほんとマジで出て行ってもらえませんかね。石塚紗夜さん。悪魔みたい。いや、デスゲームの主催者かな。悪趣味過ぎて引く」  朗希のつぶやきに紘人もそれなと続けて、ほら出て行ってくださいと促す。 「まぁ、ここの殿方は野蛮ですこと。無理矢理追いだそうなんて、警察に言いますわよ。暴力振るわれたって」 「それでも結構です。私が真実をお伝えしますから」  まぁいいや。女性同士のいざこざを起こしただけでも、私としては、万々歳だから。  どの道、ママ友達から吉永さんの評判は下がってるし、これから汚名返上なんてしても無駄よ。  人は自分にとって都合の良いものや面白いことしか信じないんだから。  あの子ども達も、ネットの見ず知らずの人の話を簡単に信じちゃって、バカねぇ。  身近にいるより近くの他人ということかもね。  修羅場起こせたから、私は満足よ。  後は、勝手にさらにいがみ合っているといいわ。  私は陰で高みの見物をしてるから。 「へぇ、あなたたちの状況を面白がってる人がいるのに、残念ねぇあっさり終わっちゃってぇ。これからどうなるか楽しみだわ。では、ごきげんよう」  石塚はいつもの口調で挨拶をして、吉永家を後にした。
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