バニーガール先輩が配信を始めたようです

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バニーガール先輩が配信を始めたようです

今日も今日とて私はバニーガールのアバターを被り、ダンジョンを徘徊する。  なんのためだって?  そんなのみんなも知ってるでしょ。  今日の宿代と借金返済のためだよバーカ。 「20時になりましたー。今日もアリスちゃんのダンジョン徘徊始まるよー」  白いバニーガール姿の【アリス】がマスコットの白うさぎ【マーチ】に向かって話しかけている。  アリスの目の前に浮いている白うさぎのマーチは彼女の配信カメラ兼コメント読み上げ係兼アイテム持ちだ。  マーチの目に向かって微笑み手を振る。  するとマーチの口から次々にコメントが流れてきた。 『ばんわー』 『ばんわー』 『ぽろり! ぽろり! ぽろり!』 『まだ始まってないの?』 「今日はねー、昨日の続きでーす。レベル3の紫紺の洞窟。アイテムつきちゃったんで、せっかく見つけた扉開けられなかったんですよねー」 『レベル3とか雑魚じゃん』 『だっさ』 「うっさいわ黙ってろこっちは命懸けで慎重に進んでんだよ、あ、ゆんゆんさんいつもポーションありがとーホントゆんゆんさんのポーションが命綱だよー」  コメントに返事をしつつアリスはメイスを肩に担ぎ、歩き出す。  目指すは第三階層の深奥「紫紺の洞窟」である。  紫紺の洞窟は特に特別なギミックがない初心者向けのエリアだ。  その代わりリポップが速いアンデットと宝箱が多く配置されている。ベテラン配信者からは戦闘実況の練習フロア扱いされているが、うっかりするとスケルトンの大群に囲まれて事故死するビギナーが多いエリアでもある。  アリスはすでにレベル5までは登れるのだが、諸事情あってここにこもっている。  アリスの目の前には簡素な石造りの扉がある。ちょうどアリスの胸の下あたりの位置に紫色のクリスタルがはまっていた。 「あーやっと昨日の扉まできました! もうスケルトンの湧きうざいよね。前回のアプデは本当にクソアプデだよ」 『湧きが遅いと配信者同士食い合うし』 『その代わり宝箱も増えたで』 『過疎ってるから囲まれる定期』 「まーね、そのうち仲間募ってスケルトン一掃配信とかするかなー」 『さっさとレベル6行け』 『5の雷の峰の攻略まだー?』 「雷の峰は行くよ! 事前告知するから待っててね、じゃ、扉開けましょー。 実はこの扉は前回のアプデで追加されたエリアだから私は初見です。スケルトン出るなよ、出るなよ」  アリスが紫のクリスタルに触れると、振動と共に扉が奥へ開いていく。  一歩、中へ踏み込む。天井付近の夜光虫の輝きの中、ギチギチギチギチギチ ギチと骨と鎧の擦れ合う音がして、スケルトンの群れが現れた。 「出るなっていったのにーーー!!」 『www』 『www www』 『ぽろりチャンス』 『待ってました』 「もう何匹? ひぃ、ふぅ、みぃ、十匹? 多いよーもー」  アリスは重いメイスを担ぎ上げ構える。走り出して、先頭のスケルトンの顔面めがけてメイスを振り下ろした。
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