これは本物の気持ちです!

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これは本物の気持ちです!

城の広々とした庭の近くに、そのテラスはあった。 暖かい日差しが差し込み、庭の花が揺れる。 なんてのどかな瞬間だろう。 テーブルの上には軽食が並んでいる。 どれも色とりどりで美味しそう。 本当にエブリンさん達とランチなんていいのかな? 「レティシア、やっと見つけた」 「あ、ノア」 ノア、リアムさん、カミラが駆けてきた。 ちょっと息が乱れているから、走ってきたのかな。別に走らなくても良かったのに。 「エブリン。勝手な行動は慎めと何回言ったらわかるんだ。レティシアさんも困ってしまうだろう」 リアムさんが呆れて言った。 確かにエブリンさんは自由気ままだ。 何にでもすぐに興味をもつ子供みたいに、純粋な心の持ち主なんだろうな。 「ごめんね。レティシアちゃんといるのが楽しくて……。迷惑かけたならごめんなさいね」 「いえ、そんなことないです!迷惑だなんて思ってないですから!」 「そう……?それなら良いんだけど」 エブリンさんはリアムさんからのお説教が苦手みたい。 リアムさんが注意すると、必ずちょっと悲しそうな顔をするもん。 リアムさんが好きだから、叱られるのが苦手なんだと思う。 「レティシア、こっちに座って。軽食しか用意できなかったけど」 「ううん、すごく綺麗で美味しそうだよ」 ノアの隣に座りながら言うと、私の向かいに座ったエブリンさんが上品な笑みを浮かべた。 「レティシアちゃん。ノアと婚約してくれてありがとう。ノアとレティシアちゃんの幸せを願ってかんぱーい!」 「「「かんぱーい!」」」 それぞれの飲み物が入ったグラスの氷が、カランッと涼しげな音を立てた。 サンドイッチやキッシュが並び、まるでおとぎ話の世界みたいに優雅な時間。 私はノアが取ってくれたキッシュを一口食べた。 優しい味が口の中に広がって、とっても美味しい。 「わあ、美味しい……」 「そう?良かったわ」 エブリンさんがニコニコしながらサンドイッチを頬張っている。 さっきのしょんぼりした表情は消えて、目の前のことに夢中になる。やっぱりエブリンさんは純粋な人だ。 「そうだ、レティシアさん」 「はい?」 「ノアから少し聞いたんだが、エディタ国では辛い生活を送ったんだって?もっと詳しく聞かせてくれないか?」 「え……」 次々と記憶が蘇ってくる。 私が頑張った結果なのに、アリスに手柄を横取りされた日。病気で苦しんでいるのに、私に「大丈夫?」の一言もかけてもらえなかった日。空気のように扱われ、時々バカにされながら生きた日々。 止めたくても止められない、嫌な思い出が蘇ってくる。 アールに裏切られたあの日も。 私は何もできなくて。 視界が歪む。 涙なんて見せられなくて、咄嗟(とっさ)に俯く。 もう乗り越えたと思ってたのに。 やっぱり私は弱いままだ。 まだまだ未熟な、鳥の雛。 もっともっと遠くへ飛び立つためには、どうすればいいの?
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