家族になるということ

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外宮で参拝を済ませた後、蓮と綾華は最高神である天照大御神が祀られている内宮へと向かう。その途中、蓮はあることを思い出した。 「あっ、そういえばジンクスを忘れてた!」 「ジンクス?」 「ほら、有名じゃん?カップルで伊勢神宮に来ると天照大御神が嫉妬して別れさせるってやつ」 「あ〜、そういえばそんなジンクスがあったね」 そう言いつつ、綾華は特に気にする様子もなく歩いていく。ポケットに入ったものを蓮は不安そうに握り締めていると、綾華が振り向いた。その顔はどこか呆れた様子である。 「何してるの?早く参拝行くよ!」 「う、うん!」 手水舎の少し先にある五十鈴川まで歩き、川の水で手を清めた後、服の襟を正してお賽銭を入れ、参拝する。 (神様、お願いします。俺の気持ちを綾華に伝えさせてください。俺は綾華と幸せになりたい。その気持ちをぶつけさせてください) 目を閉じ、ただ真剣に願う。願い終わって目を開けた時、隣にいる綾華はまだ何かを願っていた。その横顔は真剣なものである。 「……」 綾華の瞳がゆっくりと開き、ダークブラウンがはっきりと見える。頭を下げた後、綾華は「ちゃんとお願い事した?」と訊ねた。蓮は「もちろんだよ」と頷き、綾華と並んで歩く。これから向かうのはおはらい町・おかげ横丁だ。
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