シャドウレイン

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シャドウレイン

 暗闇が包む都会の街、池袋。  この街の駅の東側は人気も多く比較的落ち着いているように見える。しかし、駅の西側と北側は少し離れると人気は変わらないが、街の雰囲気がガラリと変わり、夜の街には危険が潜んでいる。  歓楽街は東口にもあるが、北側と西口側の歓楽街はその筋の組織が背後にいると噂され、客として入るならそれなりの覚悟が必要とされている。  そんな場所。駅の北側の高架脇の道。  傷を負った一人の女が片足を引き釣りながら背後から追い駆けて来る男たちに気を付けながら逃げていた。  その手には赤く染まった資料と写真が握られていた。 『もうダメ・・・』  線路脇の金網に寄り掛かる。  ガシャン!  静かに寄り掛かったつもりだったが、追い駆けて来た男達には十分な音に聞こえたようだ。  街中に響くサイレン。  背後には行き交う電車の灯りと走行音が辺りを包む。  再び、足を動かし逃げようとした。  しかし、突然背後から掴まれた腕が引っ張られたと感じた瞬間、押し倒されその喉元に怪しく光る刃が当てられた。 『本当に・・・、もう・・・ダメ・・・』  それまで張りつめていた緊張の糸が切れ、自分の人生の終わりを感じたと共に、血で汚れたマスクの下の瞳が悲しみに包まれていく。
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