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泡風呂
ぴちゃっ、水の音だけが聞こえる
彼とお風呂に入るのは、はじめてではない
何故こんなにも緊張するんだろうか
彼が私を引き寄せた
肌が直接触れて背中で彼を感じた
鼓動が早いのはお風呂のせいか、
私のせいなのか、
聞きたいけど聞けない
私もきっと、どくどく早いんだろうな
彼になにかされるのを期待してしまっている
彼の手は私の腕を撫でるだけだ
優しい壊れるものを扱うような手つきで
それが心地良くて好きだ
やめないでほしい、
もっと触ってほしい、
そんな風に考えてしまうのは求めすぎだろうか
彼の息が耳にかかるのも好きだ
もっと、もっと、もっと
考え出すとあつくなってきた
「あつくない?」
「あついね、まだはいる?」
そうやって話すときに
彼はわざと私の耳に唇を添わせて言う
私の好きなところを分かっている、全て
体温はみるみるうちに上がっていく
火照った頬が物語っているんだ
「もうちょっとこのままが、いい」
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