回復不愉快不服かい?

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 鬱蒼と木々が生い茂る薄暗い森。その奥のまた奥。顔に見えなくもない不気味な樹木に、全身傷だらけの男が背を預け座り込んでいた。 「っつ……。我輩としたことがこっぴどくやられたものだ。しかしここは一体、どこであるのだろうか……」  彼はとある王国の騎士。七つ集めれば絶対の力を手に入れると言われている伝説のクリスタルを捜索せよという王の命を受け、ひとり旅に出ていた。 「もし、どうかされまして?」  そこへ頭巾を被った娘が通りかかり、心配そうに兜で隠れた騎士の顔を覗き込んだ。 「やや、これはお恥ずかしいところを。実はモンスターの討伐に少々手こずりましてな」 「まあ。確かにこの森に生息している魔物は村娘の私でもやや苦戦するくらい手強いですものね。レベルの低い初心者の方なら瀕死の重傷を負っても仕方ありませんわ」  騎士は心にも傷を負った。 「……して、ここからそなたの村までは遠いのですかな?」 「あと2500歩程度ですけれども、その間に確実に魔物に出くわすでしょうし、その傷では逃げきれないでしょうし、ましてやここは迷いの森と呼ばれる初見なら必ず迷って出られない複雑に入り組んだ魔の森。もはや詰んでいると思って頂いてもよろしいのではないかと」  騎士は精神にも傷を負った。 「ですがご安心なさって。丁度薬をもて余してましたの。よろしければこちらをお使いになって」  そう言って娘は微笑み、騎士にある物を差し出した。
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