1、崩壊した日常

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1、崩壊した日常

今年の9月17日。 高校2年生で17歳。 俺、長谷川雄大(はせがわゆうだい)は彼女に浮気された。 それも幼馴染の3年間付き合っている彼女に。 名前は桃月一葉(ももつきかずは)。 最悪の気分だった。 嘘を吐かれて別の男と一緒に楽しそうにデートしている姿を見てから俺は愕然とした。 何だかな。くるくるしている黒髪を整え。 そして少しだけ不細工の顔を必死に整えてから。 買い物に行こうと思ってから外に出てから歩いている時だ。 一葉自身からデートのキャンセルがあったのにこんな事をしているとは思いもよらなかった。 史上最低の気分である。 どれくらいかって言ったのなら地球が消えるぐらいであるが。 あまりの悲しみに自宅で寝込んでいると自宅のインターフォンが鳴った。 両親が共に深夜まで仕事な為に俺が出るしかないのだが出る気分じゃないんだが。 俺は考えながら重い足を動かしながらインターフォンを観てみる。 すると美少女が立っているのに気が付いた。 俺はインターフォンの通話機能を押す。 どうした?双葉、と聞いた。 『お兄ちゃん。大丈夫?』 「大丈夫.....ではないが。何をしに来たんだ?」 『うん。慰めかな。大丈夫かなって感じのね』 玄関を重苦しい手で開けると。 双葉の様な感じの緑色の髪留めを着けた柔らかい香りの少女がニコッと立っている。 16歳の桃月双葉(ももつきふたば)という名の少女。 髪型は黒髪の肩まである髪の毛。 それから幼いながらも美少女の顔立ち。 高校1年生の俺の後輩に該当する。 俺と同じ学校の生徒だ。 一体何をしに来たのだろうか、と思っていると双葉はこんな言葉を切り出した。 まるで全てを見据えた様な目で、である。 「お姉ちゃんが浮気したのかな?」 と。 俺はまさかの言葉に衝撃を受けながら見開く。 すると双葉は歪んだ様な笑顔を浮かべてから。 悪魔の様に俺をいきなり押し倒した。 そして玄関のドアをバァンと音を立てて閉める。 な、何だ!? 「ねえ。お兄ちゃん。お姉ちゃんが浮気したんだよね?間違いない?」 「.....そ、そうだな.....それを何処で知ったのか知らないが」 「ふーん。あり得ないなぁ。こんな良い男の人を捨てるなんて。何考えているんだろ」 「ふ、双葉?」 俺の手をゆっくり取って自らの小さなその胸に押し当てる双葉。 その姿に、!?、と思いながら、な、何をしている!、と愕然として真っ赤になる俺。 すると双葉は、ねえ。お兄ちゃん。私ね。お兄ちゃんが好きなの、とそのまま話した。 は!?、と思いながら双葉を見る俺。 そして俺に向きながら心臓の音が聞こえるよね?高鳴っているでしょ?、とニヤァッとする。 「ふ、双葉お前マジに何して.....!!!?!」 「私ね。絶対にお姉ちゃんを許せないんだと思う。社会的に抹消したい気分なんだ」 「は、はぁ!?」 「こんな良い男性を切り捨てたのか分からないけど。何れにせよ浮気は絶対に駄目。許せない」 そして胸の所から俺の手をゆっくり離してから、私はお兄ちゃんが好きだから。だからその分お姉ちゃんをぶっ潰したい、と向いてくる双葉。 俺はその姿に、!、と驚きで浮かべながら俺の上から退いた双葉を見る。 それから双葉は、目には目を歯には歯をだよ、と満面の笑顔になる。 「成程.....」 「そうだよ。だから鉄槌を降さないと」 「.....」 俺は双葉を汗をかいて見る。 だがそんな双葉の手は震えている。 そんな双葉に、具体的にはどうぶっ潰すんだ、と聞くと。 先に立ち上がり俺を起き上がらせる双葉。 それからまたニコニコと笑顔になる。 何かの決意が感じられる。 「ぶっ潰すってそれなりの犯罪でもあるぞ」 「まあお兄ちゃん。これはリベンジって言うんだよ」 「リベンジ.....?」 「そうだよ。リベンジ。復讐と書いてリベンジ。この分の気持ちはしっかりお返ししないとね」 そして双葉は俺に近付いてから向いてくる。 花咲く様な目を細める双葉。 それから、お兄ちゃん。このまま終わらせるの?駄目だよね?許せないよね?、と向いてくる。 俺はその顔を見ながら考え、双葉に聞いてみる。 双葉は少しだけ複雑な顔になりながら答えを待っていた。 俺は真剣な顔をする。 それからもう一度考え聞いてみる。 「お前は本気で復讐したいのか?」 「.....正直言って復讐したくは無いけど。だけど誰かがやらないとお姉ちゃんは変わらない」 「.....」 「こんな事をしても何の意味も無いって分かる。だけど私は許せないから」 双葉は話しながら俺を見てくる。 俺はその姿を見ながら、そうか、お返事をする。 すると双葉は俺に柔和な笑みを浮かべる。 それから溜息を吐いた。 まるで空気でも変える様に。 「だからリベンジ。お兄ちゃん。この場所にまた来るから。その時に話し合おう。ね?お兄ちゃん」 双葉は目線を逸らす。 それから数秒後に俺をまた見た。 その姿に顎に手を添え考え込む俺。 そして、分かった、と納得する。 「.....正直リベンジなんて気が引けるけどな」 「お姉ちゃんがこの全部で.....全て悪い。だからこそリベンジは大切。やる必要がある」 「今日はこれを伝えに来たのか。双葉」 「違うね。お兄ちゃん」 そこだけは違う、と俺に向いてくる双葉。 お兄ちゃんに告白する為に来たんだよ。そしてお嫁さんになりたいから、と口角を上げる。 そんな姿に俺は赤面して頬をかいた。 全くコイツは、と思いながら。
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