05 全ての妻よ、さようなら

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 黙々と食事を続けていた私の席まで宏斗がやってきて隣に正座をした。 「不倫していたことは申し訳ないと思ってる、でも俺が本当に愛してるのは冬子だけなんだ。子供がいなくても冬子となら楽しくやっていけると思う」 「……宏斗っ!」  百合まで私の方にやってきて、宏斗に後ろから抱きついた。 「私は子供がいなくてもいいっ!宏斗さえいれば!」  また盛り上がってきて安いドラマを始めた。まだご飯とデザートは残っているが、このままここにいても仕方ないだろう。 「ごちそうさまでした」  私は手を合わせてから、机の上に出していた写真や書類を集めようとして百合に阻止された。百合は部長との写真を握りしめる。 「部長の奥様にも同じもの送っているから大丈夫よ」 「……この悪魔っ!」  百合が初めてみる形相で私を睨んだ。その顔のほうが悪魔じゃない?と嫌味を言ってやりたがったがさすがにこらえた。これ以上無駄な会話をする必要もない。 「宏斗、離婚届が家に置いてあるからサインして提出してくれる?」 「冬子っ、お願いだ!もう一度チャンスをくれないか?」  立ち上がった私の足に宏斗が縋りついている。
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