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「一度に5人と試したことあったが、誰一人戻ってないらしい。もう女王に敵うタガメは存在しないんだろうな」
話を聞きながら、金魚は不思議そうな目を俺に向けた。
「ねえ、名前は?俺たち金魚が聞いても仕方ないんだろうけどさ」
「あ、ああ……シマゲンゴロウの縞五郎(シマゴロウ)」
「ふ~ん。よくあるっぽい名前だね。俺も金麗(キンレイ)なんてありがちな名前。でもあんた気に入ったから“縞”って呼ぶね」
鱗を光らせて金麗は華やかに笑った。
気がつけば地味な自分にはない豪華な華やかさに、羨ましく思い嫉妬している己がいる。
そんな気分がとても嫌になる。
「そうだ、縞にだけ俺の秘密教えてやる。俺、なんか縞のこと気に入ったから。誰にも内緒だけど、俺には秘密の凄い力があるんだ」
「ぶふふーっ!どんな秘密の力だよ?」
「ああー!?笑うってことは、信じてないだろ?俺の凄い力は”願いを叶える力”だよ……」
金麗の目が妖しく細められ、人指し指を唇にあてると、小さな声で囁くように答えた。
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