キミのこころを知るくすり

14/14
29人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
ああそうか、そうだったのか。 どうりで、自分は昔から記憶力がいいと思っていた。 これは先天的なものじゃなかった。 くすりによってつくられたもの。 トウヤの目から涙がこぼれた。 悲しみや悔しさのためではない。 自分もミツキと同じ土俵に立つことができたから。 彼女の不安や苦しみを理解できる立場を得て、喜びのために涙を流したのだ。 今度こそ、彼女の問いにちゃんと答えることができるーー。 この世界には二種類の人間が存在した。 チャリオットとフール。 でもこれからは違う。三種類になる。 チャリオットとフール、そしてハーミット……。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!