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「ぁ、あの、ぅ、ゴホッ、
も、モデルって、ゴホッ、なんですか?」
分からなくってそう尋ねると。
「ふっ。美都ちゃんの言ってた通り。
あんた、めちゃくちゃ疎いんだな」
そう言って、
堪えるように笑っている先輩。
「ぅ、ゴホッ、笑うこと、なんですか?」
みんなが当たり前に、
〝知ってること〟だと思って。
先輩を覗き込むように下から見ると。
「.........っ、やば、その上目遣いはかわいすぎ」
そう言って、
口もとを押さえている先輩。
「......っ、ゴホッ、せんぱ、ゴホッ、い?」
今日、初めて出会った漆葉先輩。
口もとを押さえているから、
具合でも悪いのかな?って思ったのに。
「今は無理に、呼ばなくて良いから、
今日は、手ぐらい握ってね、ほのかちゃん」
先輩がそう言ったと同時、
ナチュラルに、─────ギュッと握られた手。
人生で、初めて触れた手の温もりは、
〝わたあめ〟みたいにふわふわで温かかった。
fin.
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