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絡んだ手を見せつけるように、俺と〈爽風〉の間に持ち上げて。
___ちゅっ
軽いリップ音を出して、俺の手の甲に口付けたまま、こちらをちらりと見る。
「あ、え…///」
「ふふっ」
明らかに赤面になっている俺に、〈爽風〉は笑いを返す。
ギシ、とソファが鳴った音に、現実に引き戻される。帰るのだろう、〈爽風〉は扉の前に立っていた。
「名前言ったら、プライベートで会ってもつまらないでしょ?」
「そんなことはないと思u「つまらないよね?」…ハイ」
「だよね? だから、俺の本名は言わない!もしプライベートで偶然会ったとしたら、風華が当ててみてよ」
「いやあ、それは流石に無理があr「ん?なんて?」…ナンデモナイデス」
(※上記の会話は、スター特典「風華に◯◯させたいっ!」より参照)
「ん。良し」
にこりと微笑む〈爽風〉。
…お前はさっきから何なんだよぉ!急に王子様モードになったし!さっきまで親しみやすい感じ漂わせてたじゃん!
「…じゃあ、またね」
「あ、待って…っ!」
呼び止める前に、彼は扉を開けて消えていった。
慌てて追いかけようと、すぐに扉を開けるも、目の前に〈爽風〉はいなかった。
その代わり、翔となっくんが立っていた。
「あ…。おかえり」
「「ただいま」」
「そういえば、廊下で見かけない奴を見たけど…。どうしたの?」
なっくんが思い出したように言う。恐らく〈爽風〉だろう。
「あ、彼はね、〈草原〉のボスの〈爽風〉だよ。色々あって同盟組んだから」
「「はっ?」」
二人からの視線が痛い…。
「いや、その…ね?もちろん気まぐれじゃないよ?理由はあるよ?」
「ふーん…」
なっくんがジトっと見てくるが、目を逸らす。
翔がそれを見て、にこり。怖いくらいに微笑む。
「何も無かった?」
瞬時に蘇るのは、今さっきの行為。
「あぅ…///」
「「は…?」」
不穏な気配が二人からする。すぐに取り繕って「あはは…」と笑ってみせるも、時すでに遅し。二人から質問の嵐が起こる。
「あ、いや…。〈爽風〉の挨拶かもしれないよ?もしかしたら帰国子女なのかも…「いいから言え」…はい」
翔が声を低くする。こういう時は、かなり怒っている時なので、誤魔化すことを諦める。
「ちょっ…ちょっとだよ?少しだけ…、手の甲にキ、キ……キス、された…」
「は!?」
「へえ…。なるほど」
少しと言うにはかなり無理がある程がっつりキスしていたし、何なら色気ダダ漏れだったが、そこまで言うと二人がどうなるか分からないので、言わないことを心に決める。
それにしても、なっくんはまだしも、翔が怖い。目を細めて微笑んでいるように見えるが、絶対違う。後ろに見てはいけないものがいる。アレは良くない。地獄から召喚された何かが見えたもん。
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